こんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
今回はとても身近な問題、「下痢」についてのお話です。
皆さんは大事な会議中や試験などで急激な腹痛と下痢症状に悩まされたことはありませんか?緊張やストレスを感じるとお腹を下してしまう方も結構いらっしゃると思います。
そんな辛い下痢の症状を防ぐためにはどうすればいいか、「下痢のセルフケア」についてご紹介していきましょう。
理想的な便は、形や硬さがバナナの状態のものですが、それよりも水分が多くなった状態の便が出ることを下痢と言います。
普段より少し柔らかい便を「軟便」、水のような便を「下痢便」と呼び、食あたりや消化不良、ストレスで下痢になることもあれば、ウイルスや細菌、腸内部の腫瘍が原因の下痢もあります。
なぜ下痢になるかというと、ずばり腸が正常な動きをしていないからです。
大腸や小腸など消化器の働きは、自律神経によってコントロールされています。通常、口から摂取された食物と水分は胃液などと合わさり、1日で9Lもの水分となって小腸へ送られます。小腸で7Lの水分を吸収し、残り2Lが大腸へ行き、ある程度吸収されながら便の形が形成されます。
正常な腸では「ぜん動運動」と呼ばれる動きで肛門まで便を運び、通過中に水分を吸収します。しかし、緊張や不安でストレスがかかると、腸が働きすぎて、ぜんどう運動が過剰に働いてしまいます。すると、便が通過するスピードが速くなり十分に水分を吸収できていないまま排泄されてしまうのです。その結果、軟便もしくは下痢便になってしまいます。
正常な便は、普通食べ物を口に入れてから大体24時間ほどで便として排泄されるのに対し、下痢便は早くて10時間ほどで体外に排泄されます。もちろん十分な栄養が吸収されていないだけでなく、人間にとって必要不可欠な水分も摂取できないため、ひどい状態のときは脱水症状を起こしてしまいます。
緊張や不安などのストレスで起こる下痢は、生真面目で責任感が強い人に多いと言われています。では、どうしたらストレスからくる下痢症状を抑えられるのでしょうか……。
簡単にできる下痢のセルフケアをご紹介します!
毎朝、外出前にきちんと排便しておくのは、便秘や下痢に悩んでいる人にはとても効果的。「今朝ちゃんと出たからしばらくは大丈夫」という安心感が、心に余裕をもたらします。
普段から排便のリズムを整えておくとともに、会議やプレゼンなどの大事なイベントのある日は、少しだけ早起きをして十分なトイレタイムを確保しましょう。
早食いの人は、食べ物をよくかまずに飲み込んでいることが多く、消化器への負担が大きくなってしまいます。「せかせかと食事することが多い」「すぐに食べ終わってしまう」という人は、食べるスピードを見直し、ゆっくり食べる習慣を身につけましょう。
辛い物や脂っこい物、アルコールなどを摂取すると、胃酸が多く分泌されすぎて、胃壁の粘膜を傷つけたり、腸のぜん動運動が高まりすぎて下痢になってしまいます。
「大事な商談だからお腹を下さず乗り切りたい」というときは、避けるようにしましょう。
冷えや寒さで血のめぐりが悪くなると、腸の働きが低下します。また、冷たさそのものが腸への刺激になるおそれもあるので、できるだけ温かい食べ物や飲み物を選びましょう。寒い季節や職場の冷えが気になるときは、使い捨てカイロや腹巻などでお腹を温めると、下痢の予防になりますよ。
タバコに含まれるニコチンは、腸のぜん動運動を急激に促すので下痢の一因になります。愛煙家で下痢に悩んでいる人は、本数を減らすか、禁煙にチャレンジしましょう。
ストレスなどで緊張が高まると、腸の動きをコントロールしている自律神経が乱れて腸が痙攣するので動きがにぶくなり、下痢と便秘を繰り返すことがあります。趣味や運動でストレスをため込まないようにこまめに発散をしましょう。
さて、ここまで不安や緊張からくるストレス性の下痢の対処法をご案内しました。
最後に細菌やウィルス感染からくる下痢について少しご紹介します。
食中毒や赤痢、コレラ、風邪など細菌やウイルスの感染が急性の下痢の症状を起こすこともあります。これらの感染性急性下痢の症状は、発熱や腹痛、吐き気、嘔吐などをともなうのが特徴です。発熱や吐き気などを伴う下痢に対する対処法としては下記の3点があげられます。
・胃腸を空にすることを心がける(24時間絶食)。
・脱水症状を引き起こしてしまうため、症状が落ち着き次第少量ずつ水分を摂取する(常温のミネラルウォーターなど)。
・食事はできる限り消化の良いものを食べ、脂肪分や糖分が多く含まれるものは避ける。
※長期間続く下痢や、高熱、強い腹痛、血や粘膜が混じる便の症状などがある場合は、自己判断せず医療機関にかかりましょう。
どうでしょう?下痢に対するセルフケアの方法は参考になりそうでしょうか?
緊張や不安からくるストレス性の下痢は生真面目で責任感が強い人に多いといわれています。そのため、リラックスし心を落ち着けることが一番の予防方法です。大切な会議や試験の前に深呼吸をするなど自分なりのリラックス方法を見つけてみてください。難しいなと思われる方はお腹にカイロをあてたり、腹巻をつけると下痢症状の緩和に繋がりますよ。
ただし、ストレスからくる下痢の場合は対策をとれば良いのですが、中には疾患の兆候として下痢症状がでる場合があります。ポリープや癌といった腸の病気や、膵臓や肝臓などの病気である場合、また糖尿病による代謝異常やアレルギー性の病気などが考えられます。もし、あまりにも下痢の症状が続くようなら一度医療機関を受診するようにしましょう。
当院では胃腸科や苦痛のない大腸内視鏡検査をご案内しています。下痢症状に悩まれている方、一度大腸検査を受けてみませんか?病気がないと安心することでもしかしたら症状が軽くなるかもしれませんよ。