大腸内視鏡.jP
医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック監修
       
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大腸内視鏡(大腸カメラ)挿入法のコツ・・・「上級者はSDJを意識しない」?

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2012/01/12

「大腸内視鏡挿入の上級者はSDJを意識しない」
・・・今回は、その真偽と本当の意味について、私が書いた「大腸内視鏡挿入法の手引き」(非売品)の内容の一部を引用しながら書きたいと思います。

先に今回の結論を一言で書きます。
大腸内視鏡挿入の上級者はSDJを「ここだ!と認識できる」のですが「鋭角として画面上に現れることはない」のです。

S/Cをある程度右ひねりで軸保持で越えていくと(注;なぜ右ひねりが正しい挿入のされ方なのかは近日中に書きます)、右ひねりを解除する(ファイバーをくるりと左へ抵抗なくひねってニュートラルにできる場面に出くわします・・・この場所がSDJ(を越えた直後)に相当します。
*この「左にひねる」時には、画面はくるりと回りますが、景色自体は変化しません。人によっては「レフトターンショートニング」と呼んでいるようですが、私は「ショートニング」という言葉はあまり当てはまらないと思います・・・この左ひねりの前に既に「亜短縮(ほとんど短縮という意味で使わせてもらいます)」されていますから。(ここまでのことが理解実行できている内視鏡医は少なくとも中級以上だと思います。)
・・・つまり、軸保持短縮法に熟達すればするほどSDJの認識は容易になるという意味です。

上級者が大腸内視鏡挿入した場合には、この「左ひねりでニュートラルになる」状況ではSDJを鋭角に感じることは決してありません。
(普通のカーブを右ひねりでコーナーをめくった感覚で到達します)
なので、SDJを特に「鋭角な曲がりとして意識しないまま」以後の挿入を続けて行くことになります。
が、当然そこがSDJだという認識はできているのです。

特に無送気で患者左側臥位で挿入する流派の術者であれば、D/Cには水が多く貯留しているはずです。
「左にひねって画面はくるりと回って景色自体は変化しない」場面は、水の貯留に顔を突っ込み始めた場面とイコールになっているはずです。
そのような意味でも「認識」は容易ということですね。

S/Cを軸保持のまま右ひねりでひだをこなしつつSDJに達するというのが大腸内視鏡を施行する医師の金科玉条です。
拙著に書いた文章をそのまま書きます。
「多少のバリエーションをこなしながら軸保持短縮法をできるようになるまでレベルアップすると、急に大腸内視鏡挿入が楽になる。(そして、その副作用と言うべきか、S/Cを初級者が伸ばしきってしまった症例をリリーフするのがとても嫌になってくる。交代したとしても手の感覚は最悪だし、プルしてきても既に直線化できなくなっている可能性もある。さらには、完全な「無送気軸保持短縮」にはもう戻れないので、その挿入自体にはほとんど価値がないからだ。)」

・・・・いかがでしょうか。
大腸内視鏡挿入のトップエンドの医師にとっては、完璧なラインでトレースできていない挿入は、(挿入法としての芸術性から言うと)意味がないのです。
感想をお待ちしています。