大腸内視鏡.jP
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大腸と泌尿器は関係があるのか

2018/07/01

こんにちは、横浜市胃腸科内科のららぽーと横浜クリニックです。
今回は、大腸と泌尿器の関係について話していきましょう。
皆さんはあまり関係性を意識したことはないかも知れませんが、腸と泌尿器はとても近い位置に存在しています。同じ「排泄器官である」ということを除けば特に関連性もなさそうに思えますが、実はそうではないんです。

では、これらにはどんな関係があるのでしょうか?
まずは違いを説明するために、泌尿器と大腸について、それぞれ簡単にご説明したいと思います。

◆泌尿器とは

「泌尿器(ひにょうき)」というのは尿をつくり、貯留と排出をする器官の総称です。左右の腎臓と尿管、膀胱、そして尿道で構成されています。
大腸との位置関係はこんな感じです。とても近い位置にあるのがわかりますね。ですが、大腸と泌尿器が接していると言えるのは実際にはごく一部なのです(男性は尿管の一部と膀胱、女性は尿管の一部)。

人体解剖図前面人体解剖図背面

泌尿器の断面イラスト

 

排尿の仕組み

さて、ここで尿が出る仕組みを簡単に説明しておきましょう。

排尿に関係する神経
① 腎臓で作られた尿は、尿管という管を通って、膀胱に流れ込みます。膀胱は、腎臓から送られてくる尿を一時的に溜める袋状の器官です。

② 膀胱に200~300ml程度の尿がたまると膀胱の壁が伸びて、尿がたまったことを副交感神経の骨盤内臓神経から仙髄の下位排尿中枢→脳幹の排尿中枢→大脳皮質の高位排尿中枢と伝達され、尿意を感じます。

③ 高位排尿中枢に刺激が伝わると副交感神経が優位になり、膀胱が収縮します。さらに、交感神経である下腹神経(交感神経)が抑えられて、内尿道括約筋がゆるみます。

④ 大脳からも命令が伝えられ陰部神経が抑えられます。その結果、外尿道括約筋がゆるみます。

⑤ 排尿に至ります。ただし、外尿道括約筋は随意筋(自分の意志で動かせる筋肉)なので、意識的に排尿を止めることができます。

排尿メカニズム

◆大腸とは

消化管の末端に位置する臓器です。
盲腸、結腸、直腸からなり、結腸はさらに上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に区分されます。太さは5〜8cm、長さは150〜180cm程度です。
大腸は水分やミネラルを吸収し、便を作る働きをしています。
小腸から移動してきた内容物の水分は大腸で吸収され、粥状(じゅくじょう)から固形になります。これが大便です。

排便の仕組み

次に便が排出される仕組みです。

① 便の移動によって直腸内圧(便が直腸を押す圧力)が高まると、直腸の壁が刺激されて、骨盤神経から仙髄の排便中枢→視床下部→大脳皮質に伝達され、便意を感じます。

② 排便中枢に刺激が伝わると副交感神経が優位になり、反射的に直腸筋が収縮して内肛門括約筋がゆるみます。

③ 意識的に随意筋である陰部神経支配の外肛門括約筋をゆるめると同時に力みます。

④ 排便。ただし、外肛門括約筋は随意筋なので、意識的に排便を止めることができます。

便意の図解

ここからが本題です。
簡単に、排尿と排便の仕組みをお話ししましたが、ここまで読んでみて気づいたことはありませんか? 具体的に関係性を見ていきましょう。

◆大腸と泌尿器の関係性

排便および排尿を調節する機能は、多少の違いはありますが、ほぼ同じ神経によって支配されているのです。
ここで、ちょっと思い出してみてください。
排便をする時に、尿も同時に出る」ということはありませんか?

それは、排便を調節する肛門括約筋を支配する神経と排尿を調節する尿道括約筋を支配する神経が互いに連絡しているからなのです。しかも、肛門括約筋と尿道括約筋は実はつながっていて、片方だけを動かすということができません。つまり、排尿時でも排便時でも両方の括約筋がゆるみます。
ただ、排尿の場合は膀胱に尿がたまると副交感神経の刺激によって自然に膀胱が収縮するので、尿道括約筋がゆるめば力まなくても尿は出ます。
しかし、排便は力まないと始まりません。この力んだ時に膀胱も押されるので排便と同時に尿も出てしまうのです。

……ちなみに、排尿している時に一緒におならが出ることもありますよね?これもやはり同じような理由で、尿道括約筋と一緒に肛門括約筋がゆるんでしまうからなのです。

最後に

どうでしょうか。実は、大腸と泌尿器はほぼ同じ神経によって支配されているんです。ただ単に位置が近いというだけではなく、切っても切れない関係なんですね。
また、排便と同時に尿も出てしまうという現象について、皆さん当たり前だと思っていたかもしれませんが、実は括約筋同士がつながっているために起こっていたことなんです。ただし、全ての方にこのような現象が起こるわけではありません。
便と尿が一緒に出ても、あるいは一緒に出なくても、決してそれ自体は病気ではありませんのでご安心くださいね。