大腸内視鏡.jP
医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック監修
       
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便  秘

便秘について

便秘とは、4~5日排便がない、腹痛や腹部膨満や残便感を伴うなど、排便が順調に行われない場合を指します。病院によっては、単に刺激性の下剤を処方されて終わりになることも多いのですが、病気が潜んでいる場合もあるため要注意です。なかでも、「便秘が急に悪化した」「数ヶ月続く便秘」は特に要注意で、大腸内視鏡検査で病気がないかを確認する必要があります。

重要なのは、大腸や肛門の病気を疑うこと

便の詰まりには原因があるはずです。専門的になりますが、大腸癌・大腸ポリープ・クローン病・直腸瘤・直腸脱・裂肛・極端に複雑な痔瘻などがないか、専門家を受診することが必要です。

30歳未満の便秘であれば、若年性大腸癌の場合を除き、大腸の検査は必要ではありません。40歳以上の方が便秘を訴える場合には、専門病院で大腸内視鏡検査を受け、最終的な「便秘の診断」がつきます。このとき、大腸や肛門の病気が原因でなければひと安心です。

便秘の種類

便秘の原因は、「習慣的なもの」「精神的なもの」「他の病気が関係するもの」の3つに大別されます。

1.習慣的な便秘

きちんとした食生活を

普段、大腸は収縮活動(ぜんどう運動)をすることで、便を送り出しています。このぜんどう運動は1日中同じようにあるわけではなく、朝食を摂ると眠っていた胃と腸が目を覚ましてぜんどう運動が起きることが分かっています(これを胃結腸反射といいます)。この胃結腸反射がスムーズにおこれば排便が促されますので、便秘が解消します。

適度な運動も大切

運動不足の方は、大腸のぜんどう運動が低下し胃結腸反射が弱まり便秘となります。便秘のタイプとしては最も多いといえるでしょう。典型的なのは病院に入院中の患者さんです。1日中ベッドで安静にしていると、ほとんどの方が便秘傾向になります。

水分と繊維質の摂取が決め手

野菜・穀物・豆類・海藻類には食物繊維が含まれています。食物繊維は大腸粘膜に刺激を与え、排便を促します。
現代の日本人は食物繊維の摂取量が非常に少なくなっており、便秘の原因となっています。サプリメントや寒天でもよいので、十分に摂取するよう心掛けましょう。特に野菜は大腸癌を予防する食物でもあるため、料理などで積極的に取り入れてみましょう。

また、食物繊維を腸の中で膨張させて便の量を増やすために、水分を取ることも大切です。

トイレを我慢しない

忙しさに紛れてトイレを我慢すると、便意が一時的に消失することがわかっています。便意を抑えることが習慣になって便秘になることがあります。

2.精神的な便秘

うつ病の方は便秘になることがあります。最近疲れやすい、何事に対しても意欲がわかない、夜眠れないなどの症状があれば「うつ病」 の可能性がありますので、心療内科や精神科を受診しましょう。

また、そこまででないにしても、最近では過敏性腸症候群が多くなっています。日常生活のいろいろな精神的ストレスが腸に影響を及ぼし、腸が過敏状態になり、けいれんして便がスムーズに出なくなる状態です。
若い女性に多く、日頃からストレスを軽減して精神の安定を図ることが重要です。

3.他の病気が関係する便秘

重症の糖尿病では、「神経が鈍くなってくる症状」が出てきます。このように、大腸のぜんどう運動を起こす神経が鈍くなると、便秘になります。また甲状腺の病気によって甲状腺機能が低下すると便秘傾向になります。いずれも薬の内服やインスリンや甲状腺ホルモン補充などの適切な治療で改善します。

他の病気に対して服用している薬の副作用で便秘になることもあります。たとえば、高血圧の薬「カルシウム拮抗剤」や胃潰瘍の薬「スクラルファート」、精神科で使われる抗精神薬のほとんどがしばしば便秘をおこします。しかし、これらの薬を服用しているからといって、必ずしも便秘の原因が薬であるとは限りません。本人は薬が原因で便秘になっていると思い込んでしまい、病気の発見に遅れが生じることもあります。

「大腸洗浄」は便秘に効果があるのか

女性週刊誌などで時々宣伝されている浣腸治療「大腸洗浄」は、症状が重い便秘に対して行われています。確かに、大腸を洗浄することによってお腹がすっきりし、一時的には気分爽快になる効果はあります。しかし、便秘の体質が改善するわけではありませんし、美容によいとか大腸癌の予防になるとは考えられません。また、当然ですが、食事をしたらまた大腸の中は便でいっぱいになります。

つまり、「大腸洗浄が便秘に効果があるのか」は、例えるなら「垢すりが皮膚をキレイにするか」と似ていて、一時的に気分が良くなるという効果があるだけなのです。

遺伝病の便秘もある

幼少時からの高度の便秘だった場合は、「ヒルシュスプリング病」という腸を動かす神経が部分的になくなっている遺伝病の可能性があります。重症の場合は幼少時に診断されて手術を受けることになりますが、「軽症タイプ」はしばしば見過ごされ、「普通の便秘症」として扱われ、そのまま成人になっていることもあります。

最後の治療法「腸切除手術」は一般的でない

S状結腸が長すぎて便秘になることがあります。米国ではS状結腸を切除することで便秘を治療する場合もありますが、日本では一般的ではありません。手術した場合に、術後腸閉塞・吻合部の縫合不全などの合併症を伴う可能性があるからです。ごくまれながら、高度の便秘のため腸閉塞を起こし入院を繰り返す重症の方に限定して、腸切除手術が行われることがあります。