大腸内視鏡ブログ

2016年12月 1日 木曜日

腸重積は放っておくと腸が腐る!?

こんにちは。横浜市都筑区にある、ららぽーと横浜クリニックです。
さて、もう暖房なしでは生活ができない(笑)くらい寒いと温かいものをお腹いっぱい食べてしまいたくなってしまいますね。
今回は「腸重積」という病気についてです。

腸重積って?
腸重積って聞いたことありますか?普段ではあまり聞きなれない言葉かもしれません。
腸重積とはその名の通り、腸の一部が重なりあってしまう病気です。
なにかしらの原因で、小腸の終わりである回腸(空腸から続く小腸の一部)という部分が大腸に入り込んでしまうのです。
イメージしづらいと思うので、下の図を見てください。

小腸が入り込んでしまった事によって腸が細くなっているのがわかりますか?これが腸重積という状態です。
こうなると入り込んだ内側の部分の血流が悪くなり、放っておくと腸が壊死してしまうこともある、とても怖い病気です。
赤ちゃん(特に体格のいい男の子)に多い病気です。しかし、低い確率ではありますが、大人でもかかることがあります。
大人も子供もかかってしまうこの腸重積という病気、その症状はどんなものが表れるのでしょうか?

腸重積の症状
■赤ちゃんの症状
・嘔吐
・腹痛(約15~20分おきに激しい腹痛を訴えるのが特徴的で、診察の時には痛みが落ち着いていることも多々あります。)
・粘血便(イチゴゼリー状のものがでます)
・ソーセージのようなしこりの出現

■大人の症状
・慢性的な腹痛
・便秘

同じ病気なのに、大人と赤ちゃんではこれだけの症状の差があるんですね。
嘔吐・腹痛・粘血便があれば「体に異常があるんだ!」と誰もが病院に行くことを考えると思います。
ところが大人の場合、著明な症状がほとんどありません。
日常的に腹痛や便秘があっても、「あれ?変なものを食べたかな?」「ストレスでもあるのかな?」なんて、そんな重大なことになっているなんて思いもしませんよね。
そこが落とし穴なんですね。大人だと大きな症状の出ない腸重積の原因は、一体どんなものなのでしょうか?

大人と子供で原因が違う!?
症状が全く違うのはお分かりいただけたと思うのですが、原因はどうでしょうか?
予想通りかもしれませんが、原因もそれぞれ全く違ったことが原因で引き起こされる病気とされています。

■赤ちゃん原因
原因不明のことが多いです。腸に分布しているリンパ組織が腫れて大きくなり、便のように腸内に運ばれてしまうことが原因であるとの説や、腸の痙攣が原因という説もあり、はっきりとした原因は解明がされていません。
■大人の原因
そのほとんどが腸内のポリープや腫瘍ができる事が原因であるとされています。大腸癌にかかりやすいとされる40~50歳代に腸重積の発症が多いとも言われています。約90%が腫瘍ができたことなどが原因で、腸管内のポリープなど良性腫瘍が35.0%、悪性腫瘍が52.8%という調査結果もあります。このデータからも分かるように大人の腸重積はあまりよくないものであることが多いようです。
 
では、この病気に実際になったらどのような治療をとなるのでしょうか?

腸重積の治療方法
この病気にかかってから早い段階で治療を行うことが出来ればバリウム(造影剤など)や空気を肛門から注入して、腸に圧を加えることで腸重積をもとの状態に整復することが出来ます。

赤ちゃんは発症した時間から24時間以内であれば上記のような治療をすることが多いです。
浣腸でも元に戻らなかったり、発症から時間が経ってしまっていて急を要する時には開腹手術となります。
一方、大人の場合は腸を切除するなどの開腹手術が行われることがほとんどです。
体の外から腸を正しい位置に戻そうとする方法を試みる場合もありますが、腸管内のポリープや悪性腫瘍があるなどの、他の病気が原因となって腸重積が起きることが多いため、外科手術となる場合が大多数を占めます。
どちらにしても、重症化する前に早めに病院にかかり診察を受けることが大切だと言えますね。

最後に
いかがでしたか?
赤ちゃんは生後3ヵ月~2年程度の子供に多く見られるとされています。それくらいのお歳のお子さんがいる方は注意して、こんな病気もあるのだと特徴的な症状を覚えておくといいかもしれませんね。腹痛などで急にひどく泣いたり、急に泣き止んだりを繰り返すそうです。
対して、大人に関しては子供の用にソーセージのようなしこりや血便が出にくいため、腸重積になったことに気づきにくいです。進行も緩やかですから、1ヵ月~1年の間慢性的に症状に悩んでしまう人もいるそうです。「ただの腹痛だし...」と甘く見てはいけないということですね
こうしたさまざまな病気の早期発見と予防のためにも、大腸内視鏡検査を受けたことのない方や、前回受けてから年月が経っている方は、ぜひ大腸内視鏡検査を受けてみてくださいね。

投稿者 医療法人社団LYCららぽーと横浜クリニック | 記事URL