大腸内視鏡ブログ

2015年11月11日 水曜日

大腸内視鏡で肛門の診察ができない理由とは

よく、大腸内視鏡検査中に、患者さんから
「痔があるかどうかも診てください」と言われます。


ららぽーと横浜クリニックでは、年間1万件近くの大腸内視鏡検査が行われています。
その中には、血便の精査目的で行われているケースが多くあります。
「大腸からの出血なのか? それとも痔からの出血??」と患者さんが考えるのでしょう。

ところが、大腸内視鏡では肛門を診察することはできないのです!




その理由は・・・

痔核(いぼ痔)は時に大腸内視鏡で見えることはありますが、内視鏡の視野の真近くに位置するので、痔核の正確な大きさ(肛門の外まで飛び出す程度なのか)が把握できません。ましてや、努責診(患者さんにいきんでもらって痔核の脱出程度を診断すること)は行えません。

痔ろうに関しては、一次孔(痔ろうの原因となる穴)は1mmもないので、内視鏡ではまず視認できません。

裂肛に関しても、肛門管という場所(わかりやすく言うと、肛門の中と外の中間的な位置)にできるので、
内視鏡では、肛門内からも肛門外からも見えないのです。裂肛の有無のくらいはかろうじて判断できることもありますが、重症度までは判定できません。


ちなみに肛門の診察は、専用の診察室で「直腸鏡」ないしは「肛門鏡」という器械を用いて行われます。
「肛門科」もご覧ください

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2015年11月 1日 日曜日

急性腸炎と下痢

体が冷えてきて風邪気味...なんて人が多い時期になりましたね。
当院でも冬に近づくにつれ、インフルエンザを始めとする風邪症状で来院される患者さんが増えてきますが、風邪と同じように増えてくるのが下痢の患者さんで、多くは急性腸炎です。急性腸炎の主な症状は腹痛・下痢です。皆さんもつらい症状の経験が1度はあるのではないかと思います。

今回はこの「急性腸炎と下痢」に関するお話をしていこうと思います。


一般的には下痢を起こす原因はいろいろありますが、主な5つの原因をご紹介します。
① 腸内容の刺激によるもの
食物の不消化・腐敗・発酵により腸管の運動が異常に高まったり、腸液の分泌が異常に多くなったりして起きる。
② 腸管壁の病気によるもの
食物とは無関係で、腸管の炎症・潰瘍・腫瘍によって起きる。
③ 自律神経の失調によるもの
腸管の神経、特に腸の緊張を高める神経の興奮により、腸の運動が異常に高まったり、腸液の分泌が異常に多くなったりして起きる。
④ 精神的ストレスによるもの
小腸および大腸には腸の緊張を強める神経と弱める神経が作用しており、心配事や不安、悩み事によってこの二つの作用のバランスが崩れると下痢を起こす。
⑤ 重症の感染症によるもの
重症の感染症では細菌が血液を通して腸に入り、腸の粘膜を刺激することにより下痢を起こす。

冬になると増えてくるのは嘔吐などの症状も伴う感染性のもの(⑤)ですが、下痢の原因としては、もっと大きな病気やストレスなどもありうることがわかりますね。

急性腸炎になったらどうすればいい?
正解は「胃腸の安静」、つまり絶食です。



下痢が続くと体力を激しく消耗するので、「えぇ!?体力が落ちているときにご飯を食べないの!?」と驚く方も「いるかもしれませんが、実は下痢が続いている腸にとって、食事をとることは逆効果とも言えるのです。

下痢が続いているときは、できるだけ腸の運動を起こさないための工夫が必要です。
お腹を冷やさないこと、無理にお腹に力を入れないこと、激しい下痢の間は静かに横になることを心がけましょう。
下痢の激しい間は絶食し、お腹を休ませてあげます。症状が軽くなったら少しずつ流動食から口にして、徐々にお粥や普通の食事に戻していくのです。

病院に相談することも大事
例えば、子供や高齢者はちょっと下痢が続いただけでも「脱水症状」に陥ってしまうことがあるので注意が必要です。病院では点滴で脱水状態を補正できます。
また、下痢と言う症状の中に、大きな病気が潜んでいるかもしれませんので、病院の受診は大切なのです。

下痢の適切な診断と治療のためにも「下痢くらいで...」と一人で悩まず、お気軽にご相談くださいね。

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