大腸内視鏡ブログ

2015年10月 1日 木曜日

私の便秘はどのタイプ?

今回は、皆さんにとても身近な便秘のお話をしたいと思います。

便秘は腸に関する体調不良の中でもっとも頻度が高いもので、だれでも一度は便秘になった経験があると思います。
一時的な便秘は特に問題になることはないのですが、数ヶ月以上にわたる慢性的な便秘の場合には対処が必要となってきます。

■便秘のタイプ
便秘にはいくつかのタイプがあります。
便秘のタイプに応じて、正しい治療を行う必要があります。
 
弛緩型便秘・・・大腸の蠕動(ぜんどう)が弱いため、便秘が起こる。(最も多いタイプ)

けいれん型便秘・・・大腸の蠕動が強すぎて、便秘が起こる。

大腸が詰まって起こる便秘・・・大腸がんなどで腸が詰まって、便秘が起こる。

直腸型便秘・・・(1)排便反射の異常によるもの。
         (2)直腸の疾患によるもの。
(各タイプの詳しいお話はこの記事のもっと下にもあります)


■便秘の治療
便秘を解消するためによく用いられている方法として、薬局で市販されている下剤を飲むという方法があります。
市販の下剤の多くは、腸を刺激して便を出す「刺激性下剤」というタイプです。
この下剤はすぐ効果があらわれるので頼ってしまう人が多いのですが、長年にわたって連用するとだんだん効かなくなってくるという問題があります
「下剤を飲むと習慣になる」といわれているのは、多くはこのタイプの下剤のことを指しています。
はじめはよく効いた下剤がだんだん効かなくなり、飲む量が徐々に増えてきます。
飲む量の増加に歯止めがきかなくなり、毎日大量に飲まないと便がでなくなってしまってからようやく病院を受診するケースもよくあります。
重症の人の場合には、毎日下剤を一箱飲み続けているケースもまれではありません。

また、便秘に悩む人は数多くいるにもかかわらず、命に関わることはまれなので、多くの医師は下剤を適当に選んで処方するだけというパターンに陥りがちです。
一口に便秘といっても、いろいろな便秘のパターンがあり、それぞれ治療法が異なります。
便秘であればとりあえず下剤を処方すればよいのではなく、便秘が起こっている原因を正しく診断したうえで治療を始める必要があるのです。

便秘の治療を始める前に必ず確認しておかなくてはならないことがあります。
それは、大腸内視鏡検査を行って、「大腸がんがないことを確認しておく」ことです。
そのため、当院では便秘の治療の際に、大腸内視鏡検査を受けることをおすすめしています。
20代くらいまでの若い人であれば、大腸がんで便秘となっている可能性はきわめて低いのでそれほど心配ないのですが、それ以上の年齢の方が便秘を訴える場合には、我々はかならず大腸内視鏡検査をうけていただくようにしています。

便秘の治療は、大腸肛門科を専門とする病院とそうでない病院では対処法にかなり違いがあります。
便秘に関心のない医師であれば、便秘と聞くとただ単に刺激性の下剤を処方するだけで終わりになることが多いです。
多くのケースではこれだけでも改善するのですが、便秘の原因には大腸がん・過敏性腸症候群・排便障害などいろいろなものがあります
どうしても便秘が改善しないのであれば、一度、大腸肛門科専門の病院を受診されることをお勧めします。


■便秘の一般的な予防法
便秘の3大予防法は食物繊維の摂取、水分、歩くことです。

・食物繊維を十分摂取する
野菜、穀物、豆類、海草などを意識して摂取してください。
現代の日本人は繊維質の摂取量がかなり少なくなっており、これが便秘発生の大きな要因となっています。
食事だけで十分な繊維を摂取できない場合には、市販のサプリメントで補充してもよいでしょう。
おすすめは寒天です。水分摂取が不十分でも効果があり、ダイエット効果もあります。
病院で食物繊維の作用がある薬を処方することもあります。

・水分を十分摂取する
食物繊維だけを多く摂取しても、便通が改善されないことがあります。
食物繊維を摂取した場合には、それを膨張させて便の量を増すために、水分も十分に摂取する必要があります

・よく歩く
運動不足の人は、「弛緩型便秘」といって腸の蠕動が不足することで便秘になりやすいです。これが便秘のタイプとしては最も多いものです。
腸の蠕動を促すには毎日一定の時間歩いたほうがよいでしょう


■便秘の種類
自分はどの種類の便秘だろう...思い当たるものはありますか?

*弛緩型便秘

・弛緩型便秘は、もっとも頻度が高いタイプの便秘。
・大腸の蠕動(ぜんどう)が不十分なために起こる。高齢者や運動不足の人に多い。
・食物繊維と水分を摂取し、緩下剤で対処する。
・刺激性の下剤は必要最小限にする必要がある。
症状
「便意を感じない」
「何日も便がでない」
「下剤を飲まないと便がでない」 などの訴えが多いです。
生活上の注意 ・改善方法
朝食を必ず摂取し、腸の蠕動をうながします。
朝冷たい水か牛乳を飲むのも効果が大きいです。
また、上記で説明したような、食物繊維をとる・水分を十分とる・よく歩くといったことが効果的です。
薬の使い方
塩類下剤(マグラックスやカマグ)が基本となります。
刺激性下剤は、数日間便が出ないときだけ、最小限に使用するのがよいでしょう。
状況に応じて、「食物繊維の作用がある薬」や、「腸のぜん動を促進させる薬」や、「排便を促す座薬」を用いることもあります。

*けいれん型便秘

・けいれん型便秘は、若い人(特に女性)によく見られる。
・大腸の蠕動(ぜんどう)が過剰なために起こる。
・刺激性の下剤は逆効果となる。緩下剤で対処するのが原則。
症状
ウサギの糞のようなコロコロ便が出ます。
便秘と下痢を繰り返すことも多いです。
腹痛を伴うこともあります。
薬の使い方
塩類下剤(マグラックスやカマグ)が基本です。
刺激性下剤は逆効果。刺激性下剤は数日間便が出ないときだけ、最小限に使用します。
状況に応じて、「食物繊維の作用がある薬」や、「腸の蠕動を調節する薬」を用いることもあります。

*大腸がつまって起こる便秘

・大腸がんなどで腸がつまって便秘になることがある。
・一番怖いタイプの便秘。
・大腸がんで起こった便秘であれば、早急に手術が必要。
・大腸の術後やクローン病などの病気で、良性の狭窄(せまくなること)が起こって便秘になることもある。
症状
腹痛、腹満、便が出ない、ガスが出ないなどの症状が起こります。
治療
大腸がんであれば、なるべく早く手術するしかありません。
良性の狭窄で、軽症のものであれば、内視鏡で広げて治療することが多いです。重症の狭窄の場合には、手術が必要となることもあります。
このタイプの便秘は、薬で治ることはありません。
狭くなったところを何らかの手段で解除する必要があります。
また頻度は高くないのですが、裂肛を長年放置して肛門狭窄が起こったり、極端に複雑な痔ろうがある場合にも直腸や肛門が狭くなり、便秘を訴える方がいます。この場合、肛門科で手術を受けて治療するしかありません。

*直腸型便秘

・直腸が原因で便秘が起こることもある。
・高齢者や、便意を我慢する習慣が、直腸に便が溜まっても便意が起こらないために便秘になることがある。
・便意を我慢せず、毎朝トイレに行く習慣をつける必要がある。
症状
「便が出口まで来てるのに出にくい」
「いきまないと出ない」
「残便感がある」などの訴えがあります。
生活上の注意・改善方法
食物繊維や水分を十分にとってください。
便意を感じたら我慢せずにトイレに行きましょう。
毎朝トイレに行く習慣をつけましょう。便意がなくても、毎日決まった時間にトイレに行くようにして、排便の習慣をつける必要があります。
直腸の異常によって起こる便秘には、直腸型便秘のほかにも色々な原因があります。
薬の使い方
・塩類下剤(マグラックスやカマグ)
便を軟らかくして、排便を楽にする作用があります。
・コロネル
食物繊維の作用がある。便の容量が増し、排便しやすくなります。
・レシカルボン坐薬
便が出口まで来ているのに出ないときに用います。
週2~3回程度、定期的に使用して排便習慣をつける方法も有効です。


いかがでしたか?
便秘にもいろんな種類があるということをわかっていただけたでしょうか。
もしかしたらあなたの便秘の症状に、怖い原因が潜んでいるかもしれません。
便秘の症状が続いている方、薬を飲んでも改善されない方は一度大腸内視鏡検査を受けて見ることをおすすめします。

投稿者 医療法人社団LYCららぽーと横浜クリニック