大腸内視鏡ブログ

2012年6月14日 木曜日

蟯虫(ぎょうちゅう)検査と便潜血検査を混同しないように!!

市や勤務先の健康診断において「2次検査の必要あり」との結果で、大腸内視鏡検査を受けられる方が、当院にはたくさん来院されます。代表的な例としては便潜血検査で陽性となったケースです。
さっそく問診をとらせていただきますと、時々「便の検査をしたのですが、虫はいなかったのに陽性と言われました。」と、おっしゃる方がいてビックリします。便潜血検査のことを、昔、小学生時代に行った「蟯虫(ぎょうちゅう)検査」と混同されているようなのです。

便潜血検査は蟯虫(ぎょうちゅう)の検査ではありません。同じ便の検査でも検査内容が違います。
今日は“ぎょう虫検査”と“便潜血検査”の違いについてお話していきましょう。

★ぎょう虫検査とは?

昭和20年代には寄生虫の保卵率は全国民の70~80%(!!!)もあり、寄生虫症は結核と並んで“国民病”と言われていました。しかし昭和50年代になると、化学肥料の普及と下水道など衛生環境の整備が進んだことに加え、集団検便や集団駆虫の普及により寄生虫の感染率は1%以下に激減しました。
しかし、現在でも寄生虫が“完全に無くなった”という状況にある訳ではありません。衛生環境が良くなり、殆どの寄生虫が消滅していった中で、ぎょう虫はそこそこ高い寄生率を維持しているのです。 年齢別にすると、幼稚園や小学校の子ども(5~10歳)に5~10%の高い寄生率がみられるという報告もありますし、子ども達の両親の年齢層である30~40歳にも第2のピークがみられます。 オーガニックブームと関連があると言われています。

(以下の一段落は、ぎょう虫に関してやや詳しくマニアックに・・・・読み飛ばしOKです)
ぎょう虫はヒト固有の寄生虫で、成虫は盲腸や虫垂に寄生しています。メスはお腹の中に卵がいっぱいになると、人が眠った後に肛門から出て肛門周囲に卵を産みます。産卵の終わったメスは死んでしまいますが、卵の発育は非常に早く産卵後2~3時間で内部に幼虫が形成され感染力を持つようになります。 メスが肛門から出てその周囲に産卵する時に痒みがある為、掻くと虫卵が手に付く、または無農薬で栽培された野菜をよく洗わないうちに摂取した場合などで感染すると言われています。虫卵は下着やシーツなどの寝具に付いたり、床に落ちた物がチリやホコリと一緒に鼻や口から入ってきます。その為家族内や集団生活の場での感染が起こりやすいのです。(ふうっ。ここまで読み疲れていませんか?)


ぎょう虫の虫卵は肛門外に産みつけられる為、検便では虫卵を見つけることができません。その為、セロハンテープ肛囲検査法により肛門の周囲についた虫卵をセロテープに貼り付けて顕微鏡で調べます。これは特殊な粘着性のテ-プを肛門のひだを伸ばした状態で強く押しつけて、そのテ-プについた虫卵を顕微鏡で調べる方法です。朝、目が覚めた時にそのまま寝床の中でテ-プを肛門にあて、上から5、6回押さえるのです。


ぎょう虫検査キットです。この検査フィルム、見覚えありませんか?おそらく誰もが小学校の頃に経験があるのではないかと思います。尚、もしも感染が確認された場合は駆虫剤を内服しほぼ陰性化するとされています。



★便潜血検査とは?

その名の通り、便に血液が潜んでいるかどうかを調べる検査のことです。
消化管のどこかで管腔側(内側)から出血すると、便の中に血液が混入します(血便)。大腸ガンや大きな大腸ポリープなどで、便と擦れてしまい出血が多い場合には、出血の部位によりタール便から暗赤色、鮮紅色の血便となりますが、出血が少量の場合には肉眼的な変化に乏しく、便の潜血反応を行うことで消化管出血の有無を診断します。 以前行われてきた化学的便潜血検査(化学法)は、便中の血液成分による反応を利用した非特異的血液検出法です。この方法には動物の血液を含む肉食や鉄剤、そしてある種の薬剤と反応してしまうため、偽陽性になりやすいという欠点がありました。
そこで、近年用いられているのが、便中のヒト由来のヘモグロビンに特異的に反応を示す免疫学的便潜血検査(免疫法)です。この免疫法はヒト以外の血液に反応しないので、食事制限の必要がないのです。最近では免疫法が大主流で、大腸ガン検診の一次検査や下部消化管疾患のスクリーニング法として用いられています。なお、検診では1日1回ずつ2日間続けて採取する「2日法」が主流となっています。


便潜血検査は例えばこんなキットで行われます。
いろいろなキットがありますが、採便の苦労がないように工夫されています。



・・・・いかがでしたでしょうか?
同じ便の検査でも、検査の目的や調べる内容が違いますね。
もしお手元に健康診断の検査結果があるようでしたら、もう一度ご確認してみてはいかがでしょうか?


投稿者 医療法人社団LYCららぽーと横浜クリニック