大腸内視鏡ブログ

2012年1月14日 土曜日

大腸内視鏡(大腸カメラ)挿入のコツ;S/C topの引き込み(2/2)

さて本題。「S/C topの引き込みを可能にする方法」でしたね。

S/C topで内視鏡の先端が届きやすくなっているためにはS/C topから肛門までの大腸がどのようになっているべきなのでしょうか。

①大腸の襞が一部だけ引き伸ばされたりしていない(襞が均等になっている)
この状態を作るには、挿入最中の丁寧なフッキング・ザ・フォールドが必要です。
軸保持が十分に利いている段階から少しでも行うことにより、わずかでもリードを奪っておくべきです。
私の著書「大腸内視鏡挿入法の手引き」では、「フッキング・ザ・フォールドとは襞の均等化に他ならない」と言い切っています。
楽勝な腸だと思っても、気を緩めない。丁寧に、慎重にフッキング・ザ・フォールドを。
一般的にスポーツなどで超一流の選手が普段の基礎練習を怠らないのは、究極的に高い限界レベルに挑むときのために少しでも上積みを作っ
ておくためです。限界レベルに来たときのために用意を完璧にしておくのです。

②余分な空気や水が入っていない

「空気が入っているとソーセージ状の腸管になってしまうから・・・・」という初級中級者への説明をこの記事のレベルでするつもりはありません。
それよりも、私が言いたいことは
「腸管内の空気をゼロに近づけるよう努力していますか?」
「腸管内の水をゼロに近づけるよう努力していますか?」
ということです。
究極的にS/C topを越えやすい環境を考えると、
「視野が悪くても空気、水を入れるべからず、挿入最中に既にある空気(ガズ)や残渣(腸管洗浄液)さえも吸引すべし」になります。
まさに以前の記事のように「我慢&我慢の大腸内視鏡」です。

③S/Ctopまでの挿入で腸管にダメージがない
S/C topに到達するするまでに壁を少しでもつついていませんか?
軸保持が利いていたとしても、わずかでもプッシュ気味の場面があると、ごく一部の大腸に「petit-redundant」(俗な表現で申し訳ありません)な部分ができてしまいます。
究極的な挿入のためには、これさえも可能な限り回避すべきです。
(なので、普段の挿入で「あと1cmプルしたまま挿入を続けられないか」を常に考えながら検査するべきです。)

④体位変換、下腹部正中圧迫、恥骨直上圧迫、左下腹部圧迫などにより、S/C topが引き込みやすい位置にある
体位変換なしで挿入する流派があります。もちろん、体位変換なしでも十分にTCS自体は可能ですが、左側臥位で「S/C topで右ひねりで届かない」状況になってしまったら、第一選択は体位変換と用手圧迫です。
その用手圧迫の部位を看護師任せにしていませんか?
もちろん、手慣れた看護師であれば絶妙のサポートをしてくれますが、症例によってベストのポイントが多少異なります。
そこで、内視鏡術者自身が用手圧迫の場所を一症例の中でいろいろと試してみるべきです。
ここがよさそうだと思ったら、看護師に圧迫してもらうのがよいと思います。
重要なのは、本当に最適な圧迫点を探す努力を自分でしているか、ということです。


ごく稀ですが、上に書いた方法を全て忠実に守っても、S/Cで先端が大腸の2分節(2ハウストラ)くらい届かないケースは絶望感が漂います。
(その場合はプッシュやむなしと思います。被検者の表情を見ながらゆっくりと。)



・・・・いかがでしょうか。
書いてみると、月並みなことばかりのようですが、奥は深いのです。


投稿者 医療法人社団LYCららぽーと横浜クリニック