大腸内視鏡.jP
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放射線腸炎とはどんな病気

2017/12/01

こんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
今回は「放射線腸炎」についてご紹介したいと思います。

放射線腸炎の症状(早期障害・晩期障害)

【早期障害】

放射線療法(前立腺癌などの治療方法の一つ)から2ヶ月以内に下記のような症状が現れることがあります。
・吐き気
・嘔吐
・腸の痛み
・出血
・水様性下痢
・腹部の痙攣
・倦怠感
・食欲不振など
こういった症状が発症することを「早期障害」といい、放射線治療が終了すると2~3週間で大体収まります
しかし、放射線治療が終了してなおも症状が改善されず、数ヶ月から数年後に発症するという例も確認されています。

【晩期障害】

上記のような比較的軽めの早期障害に対して、腸粘膜から腸管全体に病変が広がってしまうことを「晩期障害」といいます。症状は下記の通りです。
・ 強い粘膜の炎症
・ 深い潰瘍
・ 下血
・ しぶり腹
・ 大量出血
腸管の狭窄により腹痛や便の細小化がみられ、腸閉塞を起こすこともあります
この他にも、膀胱や腟が瘻孔を形成し、気尿や腟からの糞便の排泄がみられたり、腸管の穿孔により腹膜炎を起こすこともあります。

放射線腸炎の原因

放射線腸炎は主にがん治療の一環として行なわれる放射線治療を受けることが原因で発症する疾患です。特に子宮癌や卵巣癌、前立腺癌といった悪性腫瘍の治療後に発症するとされています。
これは、治療の際に放射線が腹部にあたり、腸に障害を来すためです。また、治療によって照射される放射線量が60グレイを超えると発症率が上昇すると言われています。
腸管細胞は骨髄や性腺と同様に常時活発的に細胞が新しく作られる場所のため、放射線の感受性が高い組織となっています。そのため、婦人科や泌尿器科における放射線治療の副作用として発症するのが放射線腸炎です。

放射線腸炎の治療方法

早期障害に対しては照射中であれば、治療そのものを中断することで症状が回復することもあります。それに加えて中心静脈栄養による腸管安静、サラゾピリンやステロイドの投与などの保存的治療が行われます
晩期障害に対しては、軽症であれば早期障害の時と同様に保存的治療が試みられますが、保存的療法が無効であった場合には外科的治療が行われます。小腸病変に対してバイパス手術、直腸病変に対しては人工肛門造設術にとどまることが多いのが現状です。

最後に…

いかがでしたか?
放射線により引き起こされる病気「放射線腸炎」についてご紹介させて頂きました。
放射線腸炎は早期障害と晩期障害に分かれます。吐き気やおう吐など比較的軽い症状が早期障害。腸粘膜から腸管全体に病変が広がって大量出血や腸閉塞など起こす症状を晩期障害といいます。治療は軽症であれば照射を中断することで症状が回復することもあります。良くならない場合は保存的治療が試みられますが、無効であった場合外科的治療が行われる場合があります。
レントゲンやCTなどでも放射線を浴びますが、その程度では放射線腸炎には到底なりませんのでご安心下さい。